松浦弥太郎、おすすめ本『しあわせを生む小さな種』

「しあわせになりたい」と誰もが思うはずです。

しかし具体的にどのようにして、
しあわせになれるのかを考えると
その方法はよくわかりません。
しあわせの形は人それぞれで、感じ方も様々です。

本書『しあわせを生む小さな種』には、
自分なりのしあわせを見つけるヒントが書かれています。
本書にはこのように「しあわせ」についてこのように書いています。

自分で選んだ種を、自分で蒔いて、水をあげて、栄養もあげて、
大切に育てていく。それで初めて花がさく。

しあわせとは種で、その種を自分で育て、
花を咲かせる。
それこそが自分が実践して得ることができる「しあわせ」の形。

本書はそんなしあわせの種を見つけられる言葉がたくさん綴られています。
その中から厳選して引用を交えつつ紹介したいと思います。

日常の日々を淡々と継続する大切さ。

しあわせの種を蒔き、
育てることは時間がかかり、
時には退屈と感じることがあります。

またすぐに結果に結びつかず、
途中で辞めてしまうこともあるでしょう。
弥太郎さんはこの種蒔きには「待つ」ことが重要だと書いています。

すぐに結果を求めて得たものがあったとしても、
その幸福は一時的なものであり、

本当に大切なことは日々のルーティンの中にあり、
繰り返し続ける日々こそ、愛しくしあわせが隠れている

と本書は教えてくれます。

種を蒔いて自分の庭を育てるとは、辛抱強く我慢をして、
同じ毎日を淡々と続けること。

あれこれしなくても、日々の営みを淡々と続けるだけで、
種は蒔かれ、育まれ、いつか花が咲く。

日常生活はとても地味で味気なく感じることもあるかもしれません。
そんな普通に繰り返す日常の中でも、
丁寧に日々を慈しみ、小さな種を蒔くことで、
種は育ち、自分すら知らなかった花をいつか咲かせるかもしれない。

続けることは簡単なことではありません。
また結果が出なくて虚しくなることもあるかもしれませんが、
あたりまえの生活や日常の中にも、
自分が蒔いた種があること。

そして種を蒔いた庭を自分自身で作り、
花を咲かせることがきっと、
自分なりのしあわせの作り方なのだと思います。

イライラを水に流す大切さ。

本書を読んでいてすぐにやってみたいと思ったことは、
『手を洗う』ことです。

そんなこと普通の行為じゃないかと思われるかもしれませんが、
特別、手が汚れたときだけではありません。

少し嫌なことがあったり、

気持ちが落ち着かないときに、
水で手を洗うことを弥太郎さんは勧めています。
字のごとく「水に流す」ということですね。

手を洗うと気持ちも切り替わるし、
自分の心がリセットされます。なにより、
「ひとつひとつのことに、新しいきれいな手で取り込む」
という心がけになります。

このようにほんの少しの心がけで、
それまでざわざわしていた気持ちも、
落ち着くことがあるのではないでしょうか。

イライラも溜まってるしまえば、
つい顔に出てしまうことがあります。

そんな時、自分の負の感情や気持ちを一旦リセットするような気持ちで
手を洗ってみてはいかがでしょうか。

気持ちもリフレッシュできて、
また頑張ってみようと思えるかもしれません。

マイナスな要素をプラスに転じる。

人生うまくいくときもあれば、いかないときもあります。
時には苦しくて逃げ出したい日もあるかもしれません。

弥太郎さんはそのような困難についてこのように書いています。

「自分が乗り越えられない困難は、自分に起きない」


そう思うことで、苦しいと感じることがあっても、
この苦しみは乗り越えられる困難だと思うと頑張れるのだそうです。

困難や不自由さは、時として人生の中で起こりうることで、
絶望にも似た思いもすることがあるかもしれません。

しかし、そんな困難を乗り越えた人にしか分からないことや、
経験や景色もあるのではないでしょうか。

マイナスな要素をすべて排除するのではなく、
マイナスからも得るものもあるし、
マイナスがあってプラスが生まれます。
元気で跳んで歩いているときには見えなかった景色にも、
見えなかった人の気持ちにも気づくことができるはずです。

不自由さは最高の先生です」と弥太郎さんは書きます。

どんな人にも困難や苦労があると思います。
その中で自分が何を見つけ、気づけかがきっと大切なことだと思います。

ですから、今辛い逆境の中にいると感じるときは、
そこから学ぶチャンスが訪れていると考えてもいいのではないでしょうか。

人のためが自分のためになる。

しあわせを考えるときはどうしても自分中心の考えを持ってしまいます。

自分がどうすればしあわせになるのか。
自分がしあわせになるためにどうするべきか。

弥太郎さんは自分のために何が必要かと考えよりも、
「あの人のために何かする」ことの大切さを説いています。

自分中心な考えから、
自分はこの人のために何ができるだろうと考えることで、
相手を思いやる心が生まれ、
好意の花が咲くと教えてくれます。

自分が必要とされているかどうかを悩むより、
人が何を大切にしていて、
何を必要としているかをよく考え、
今それを差し出す努力をしたほうが、
自分もまわりもしあわせです。

たとえば自分の大切な人が笑ってくれる。
それだけでしあわせなことです。

大切な人のしあわせが自分のしあわせになれば、
本当にしあわせだと思います。

そのために、いつも自分のことだけではなく、
自分のまわりの大事な人に尽くすことも大切なことではないでしょうか。

人の「してほしいこと」を探す。

相手の「してほしいこと」に「自分ができること」があることは
しあわせなことだと弥太郎さんは書いています。

そしてその行為に心を込めることで自分もしあわせな気持ちにもなる。

しあわせを求めるときはつい自分本位になってしまいがちですが、
このように相手が望むことを自ら進んでやることで、
満たされる気持ちもあるのではないでしょうか。

そして相手の「してほしい」を見つける手がかりは
「笑顔」にあると、弥太郎さんは書いています。

笑顔は人の心をほどくので、
相手の望みを知る手がかりになります。
そして、まず自分が人からしてもらって、
嬉しいことを相手にしてあげることです。

「人がされて嫌なことはするな」とよく親から言われた記憶があります。
また、その反対で人からしてもらって嬉しかったことを、
人にすることも大切なことです。

たとえば、苦しいときに優しい言葉をかけてもらったこと、
一人ぼっちだと思っていたけれど、ずっと味方でいてくれたことなど、
自分がされて嬉しかったことは、進んで人に実行するだけで、
随分しあわせは生まれてくると思います。

 

最後に、
本書はしあわせを見つける種のヒントがたくさん書かれています。
その中のいくつかの種を本書から引用させて頂きました。

しあわせは自分だけでは育たないものだと思います。
自分以外の他者によって、しあわせの種は育ち、
やがて花を咲かせられます。

そんな綺麗に育った花を一緒に「綺麗だね」と言い合える人が
そばにいてくれるなら、本当にしあわせなことだと思います。

しあわせを見つけたい。
しあわせになるためののヒントを探したい。
そんな人にこの一冊をお勧めします。

 

松浦弥太郎著『しあわせを生む小さな種』